彫刻家 森貴也さん(45)=竹田市=
2020年の夏、日田市天瀬町出身の友人から1本の電話を受けました。「洪水災害で流された新天瀬橋が、ただスクラップとなり処分されるのは忍びない。作品にして橋を成仏させてほしい」という相談でした。
私は早速、現地を訪れました。復興が少しずつ進み始めているところもあれば、メディアにも取り上げられていないいまだ手つかずのところまで、天ケ瀬の現在(イマ)を見ました。その日はとても良い天気で、あの日のことがうそのように川の流れは穏やかでした。そこには新たにたくさんの石ころが流れ着いていました。
石ころは、私たちよりもはるか昔から存在し2020年洪水災害だけでなくさまざまな天変地異を体験してきました。そして私たちよりもはるか先まで、存在し続けます。
過去の悲しい出来事を変えることはできませんが、新天瀬橋のカケラもスクラップになるのではなく、この川辺に転がる石ころのように、これから先の未来を、この地に暮らす人々を長く、優しく見守ってくれるような存在にしたいと思い、石ころを模した作品を作りはじめました。
架かっていたときには動くことができない橋でしたが、石ころの作品に生まれ変わったことによって動けるようになりました。展覧会という形で全国を旅しながら、天瀬町のことを各地で伝えるという役割を担ってきました。
そして毎年7月には、天瀬町の方々に作品を披露し、川に想いを寄せるささやかな会を開きました。たくさんの方々と交流を深め、気がつくと私は、天ケ瀬を第3の故郷のように感じるようになりました。
すると少しずつ地元の方々から「森さんの作品を天瀬町に残したい」という声が上がり始め、その声が日田市に伝わりました。2025年の10月、ついに作品「記憶のカケラ~架け橋~」が、新たに架け替えられた新天瀬橋のたもとにある天瀬温泉公園内に災害伝承モニュメントとして設置されました。
この災害から5年の間に起こった奇跡のような展開は、たった1人の言葉がきっかけで起こったことです。
小中学生の皆さん、まずは自身の等身大の想いを「地球さんご賞」に応募してみてください。もしかするとその声や言葉もまた、誰かに気づきを与え明るい未来につながるような、大きなきっかけになるかもしれませんよ。
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地球さんご賞は、命や自然、環境の大切さをテーマにした、子どもたち(小中学生対象)の作文コンクールです。募集要領と原稿用紙をPDFで添付していますので、奮って応募ください。