危険運転致死傷罪に「数値基準」を追加した改正自動車運転処罰法が1日、公布された。21日に施行される。一定の速度超過や体内アルコール濃度で死傷事故を起こせば、一律に同罪が適用される。要件が明確になった結果、適用件数がどう変わるか注目される。
数値基準は▽一般道で50キロ超過▽高速道で60キロ超過▽呼気1リットル当たり0・50ミリグラム以上のアルコール濃度―と規定。速度については基準から9キロ以内の差なら「準じる速度」と捉え、現場の交通量や道路状況を考慮し「高い危険性」があれば適用できる。
例えば、大分市の沿岸を通る通称「40メートル道路」や大分―別府間を結ぶ「別大国道」といった法定速度60キロの幹線道路なら、時速110キロ以上で処罰対象になる。時速101~109キロは「準じる速度」。
数値基準の導入に加え、ドリフト走行も新たに危険運転の対象に追加する。
飲酒については、道交法違反の「酒酔い運転」(拘禁刑5年以下または罰金100万円以下)にも、同じ0・50ミリグラム以上の数値基準を導入し、21日に施行する。0・15ミリグラム以上で摘発する「酒気帯び運転」(拘禁刑3年以下または罰金50万円以下)は維持する。
国の統計によると、2024年に危険運転致死傷罪で摘発された人は、全国で844人。対象を限定しているため、過失運転罪の28万3737人と比べて圧倒的に少ない。酒酔い運転も806人で、酒気帯び運転の2万479人と大きな差がある。
危険運転罪を巡っては、21年に大分市大在の40メートル道路で起きた時速194キロ死亡事故をはじめ、各地で適用されにくいケースが多発している。「要件が曖昧」との批判が上がり、法務省は数値で線引きして要件を明確にする見直しを図った。捜査機関が立証しやすくなる一方で、被害者団体からは「加害者に甘すぎる数値」との指摘も出ている。
新たな自動車運転処罰法と道交法は6月25日に衆院を通過し成立した。