総務省に「九州管区行政評価局」という組織がある。市役所や県庁のように、あまり身近な役所ではないため、知らないという人は多いだろう。では、何をしているところなのかと言うと、行政上の課題を把握し、改善・解決に取り組むのが主な業務で、住民にとってありがたい組織なのだ。
大分市新川町の大分合同庁舎にある、九州管区行政評価局の出先の「大分行政監視行政相談センター」(赤木建一郎所長)で17日に開かれた行政懇談会に出席し、現在、全国で取り組んでいる案件などについて意見交換した。その中に「危ない。それは気付いて良かった」と心底思う献血関連の改善事例があったので紹介したい。
ある日のこんな相談が端緒だった。「献血の問診票の既往歴チェック項目には、脳卒中の記載はあるが、脳卒中には『くも膜下出血』が含まれるといったことが書かれていない」と言うのだ。
調べたところ、脳卒中の既往歴がある人が献血をすると健康リスクが懸念されるため、献血はできないまたは、控えることが推奨されていることが分かった。
その脳卒中の中に実は「くも膜下出血」が含まれていて、これは医学的には常識なのだが、一般的にみんなが知っているかと言えば、そうとは限らない。
つまり「くも膜下出血」の既往歴はあるが、脳卒中にはかかったことがないと思ってしまった人が、社会の役に立とうと献血をすれば、自らの健康を危険にさらすことになるわけだ。
九州管区行政評価局は日本赤十字社に相談内容を伝え、住民が安心して献血ができるための方策を考えてほしい旨を打診した。
日本赤十字社は▼全国の血液センターに注意喚起し、献血会場の健診医や受付職員らに伝達するよう指示▼既往歴で献血の可否を質問できるチャットボット(自動対話システム)への誘導を促すよう、献血Web会員サービス「ラブラッド」の仕様を変更▼日本赤十字社血液事業のホームページに、脳卒中には「くも膜下出血」も含まれることを明示▼問診票を分かりやすい表現に見直す―といった対応(2025年11月)をした。
大分行政監視行政相談センターによると、献血をする人は年間で約500万人。ということは「くも膜下出血」にかかったことがあるのに献血をしていた人はいると想像できる。もっと早く気付くべきだったとは思うが、端緒の相談や改善業務がなければ、今も善意が暗転する危うい状況が続いているはずだ。
「この制度、何とかならないかな」「こうすればもっと便利なのに」。ちょっとしたことでも良いので、ふと気付いたり、疑問に感じたり、要望があったりしたら、遠慮せず大分行政監視行政相談センター(097-532-3715)に相談してみよう。