大分市と大分空港(国東市)のアクセス改善に向けて走りだしたホーバークラフトの定期便が、26日で就航から半年を迎えた。運航会社によると、乗船率は平均約3割とやや低調。当初計画より便数を絞っていることもあり、利便性の向上は限定的だ。会社は今年の夏をめどに増便と夜間航行の開始を計画中で、移動ニーズに合わせた運航体制づくりを図っている。
「完全な便数で運航できていない点が一番の課題だ」。運航会社・大分第一ホーバードライブ(大分市)の小田典史社長(53)は半年間を振り返る。
同社は計画段階で1日7往復半(15便)を予定していた。だが昨年7月の就航時から、運航ダイヤは操縦士の訓練時間確保などを理由に、1日4往復(8便)に絞っている。
現在、最終便は大分市の西大分ターミナル発が午後3時35分、大分空港発が午後4時55分。夕方から夜にかけてのビジネス客らを十分に取り込めていない状況だ。
利用者の声はどうか。出張でよく大分を訪れるという東京都の会社員星野裕規さん(45)は「移動が短時間で、席もバスよりゆったり座れる。空港の行き来はまずホーバーを検討する。便数が少ないので、自分の乗る飛行機と時間がなかなか合わないのはネック」。
一方、埼玉県から大分市に帰省していた男性(63)は「ホーバーは気象の影響を受けやすい。飛行機に間に合うか不安なので、市内から空港へ向かう時は高速バスに乗る」と話す。2009年に以前のホーバー運航がなくなってから、バスに慣れたという声も聞かれた。
空港利用者のニーズに応えられるよう、同社は7月をめどに1日の便数を当初計画並みに増やす準備を進めている。夜間航行が実現すればビジネス客以外の増加も見込めるとし、「宿泊費が高騰している東京へ遊びに行った日帰り客の需要にも応えたい」と小田社長。
就航前は訓練中の事故が相次ぎ、23年度中を目指していた定期航路の運航開始は25年7月まで遅れた。同社によると、空港アクセス便と、先行して24年11月に始めた別府湾周遊便は、いずれも就航から事故は起きていないという。
「通常運航と並行して訓練もしている。操縦士の技術も向上し、安全運航が実現できている」と同社。
佐藤樹一郎知事は今月20日の定例会見で「トラブルなく運航できているのは本当に良かった。安定運航へのノウハウや自信が増えてきており、今後、収益状況が良くなることも期待したい」と述べた。
<メモ>
大分空港と大分市を結ぶホーバークラフトの定期便は、別の事業者が2009年に撤退して以来の就航。県がアクセス改善を目的に復活を決め、20年に第一交通産業(北九州市)と協定を結んだ。県が3隻を購入し、同社が設立した大分第一ホーバードライブに貸し付ける方式を採用。定期航路は国内唯一で、観光資源の役割も期待される。空港―西大分ターミナル間は約40分。各便80席。