【日田】県西部医療圏域の中核病院「県済生会日田病院」(日田市三和)は慢性的な赤字体質からの脱却に向け新年度、市や県、市医師会、有識者などと構成する経営改善会議を設置する。2023年度決算で累積赤字は約10億円に膨らんでおり、関係者間で課題を検証。公的資金の投入も視野に経営立て直しを図る。
同病院によると、赤字は04年度ごろから大きくなり始め、16年度以降はコロナ禍の補助を受けていた期間(20~22年度)を除き、赤字経営が続いている。23年度決算で約10億4400万円の累積赤字があり、借入金残高は約33億9300万円に上る。
24時間体制で医師が重症患者の治療に当たる2次救急を抱え、災害医療拠点や感染症指定病院として非常電源などの整備や人材配置をしていることが要因という。
治療後のリハビリや退院後の地域生活支援などに当たる専門職の雇用などで、職員数・人件費は20年前から倍増。最近は設備投資も滞り、放射線治療装置の更新ができずにがん患者が連携先の病院(福岡県久留米市)で受診しなければならない状況に陥っている。
昨秋、日田市は同病院から財政支援の要望を受け、経営状況を確認した。経営改善会議で経営分析や健全化対策を進める方針で、県は医療機器整備への助成を検討、市も必要な支援を実施する見通し。
椋野美智子市長(68)は「3次救急を担う久留米、大分両大学病院との役割分担など、有識者の意見を聞きながら課題を洗い出したい」。林田良三院長(70)は「診療科数の見直しなども議題になり得る。市民に必要な公的病院を維持するため、行政と連携して健全化に取り組みたい」と話している。