【宇佐】高齢化の進む宇佐市安心院町津房地区で、独居高齢者の安否を通知するデジタル情報装置「黄色いボタン」の実証実験が進められている。朝起きて黄色いボタンを押すと、内蔵された携帯電話回線を通じて事前に登録した区長や民生委員、家族などにメールなどで通知が届く仕組み。今月末までに実験結果をまとめて改善点などを検討し、導入するか決める。
玄関先に掲げた黄色い旗で住民同士が安否を知らせ合う「黄色い旗運動」が各地で行われているが、防犯上のリスクや突発の事態が発生した際に対応できないなどの課題があるという。
このため住民でつくる津房地区まちづくり協議会の岡喜久夫事務局長(77)が、同市の情報システム開発「森と水エナジー」の田中克典代表(36)に協力を依頼。市のDX(デジタルトランスフォーメーション)・ICT(情報通信技術)化実証実験事業を活用し、同装置を開発した。
装置には黄色いボタン以外にも緊急時に異常を知らせる赤いボタンと、不在時にスイッチを切り替えて留守を伝えられる機能も。運用にかかる通信費やシステム利用料は1世帯で1カ月当たり千円程度と見込む。
「地域で見守り、支え合おうと取り組んだ。まちづくり組織だからこそのアイデア」と岡事務局長。
実証実験は昨年10月からスタートし、70、80代の独居者10人が参加。男性の参加者(88)は装置をベッド脇に設置しており、「起床したらすぐにボタンを押すだけで手間にはならない。防犯対策にもなりそう」。他の参加者からも「不安の解消につながる」と前向きな声が多く、好評という。
田中代表は「高齢者が安心して暮らせる地域づくりが目標。他地域からも関心が寄せられており、改良を重ねてより使いやすくしながら普及させたい」と話している。