【大分つかみどり!】「おでんの具にかまぼこ」大分が全国最多 手軽さや安さが理由?

熱々のおでんを提供する家長玲於代表=2日、大分市中央町

 おでんの季節がやってきた。寒さで冷えた体に、温か~いだしが染みわたる。空腹を満たしてくれる多種多様な具材は、地域によって差があるらしい。大分県民に人気のおかずを調査してみた。
 紀文食品(東京都)は、家庭の鍋料理に関する調査の中で、おでんによく入れる種についてアンケートをした。都道府県別に見ると、大分県は全国で最も多くかまぼこを食べていることが分かった。サトイモは4位、鶏肉は5位にランクインした。
 サトイモは豊後大野市が産地として知られ、鶏肉は消費量が日本一。いずれも納得の結果だが、かまぼこは疑問が残る。大分市明野東のトキハインダストリーあけのアクロスタウンを訪れると、おでんのレトルト製品と並んで、練り物がびっしり。
 同店商品部の斉藤昇平さん(31)によると、かまぼこは冬になると他の季節の1・5倍ほど売れるという。「レトルト製品に追加で入れる具材として手軽だから選ばれているのかな」と推測する。買い物をしていた同市森町の主婦、西まさ子さん(69)は「鍋を彩ってくれる。柔らかい食感も良い」とほほ笑む。
 日本料理が専門の田北調理師専門学校専任講師の安部慎吾さん(39)は、かまぼこについて「練り物といえば関東ははんぺんやちくわぶが定番だが、大分はちくわとかまぼこの2強。大分県民は食にお金をかけない傾向にあり、値段も安いかまぼこが選ばれているのだろうか」と首をかしげた。
 おでんの具や味付けには地域差があり、郷土料理に近い発展を遂げた一方で、一家で食卓を囲む機会が減った近年は外食の一つとして楽しむ人も多い。
 大分市中央町で「おでんと炉端焼き一」のメニューを見ると、ちくわやこんにゃく、卵など王道もあるが、シュンギクにトマト、ナス、だし巻き玉子…と、珍しい種が目立つ。
 家長玲於代表(34)は「家では食べることのできない物を用意している。外食のおでんは意外性が大切です」と笑う。
 安部さんは「家庭では手軽に調理できる印象があるかもしれないが、凝れば凝るほど難しい料理。専門店には工夫が求められる」と述べた。
 自宅でおなじみの味にひと息ついたり、専門店に行って意外な具材を食べてみたり、多様な楽しみ方ができる奥深さがおでんにはある。寒さが増し、いよいよ冬本番。今日の夕食はおでんにしませんか?

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