天皇、皇后両陛下は9日、水産資源の保護や環境保全の大切さを発信する「第43回全国豊かな海づくり大会」(10日、大分、別府両市)に出席するため、来県された。稚魚を育てる県種苗生産施設(国東市国東町鶴川)を視察し、大分市内のホテルでは大会で募った絵画や習字の優秀作品を鑑賞した。漁業関係者との懇談もあった。
両陛下の来県は2018年の「第33回国民文化祭、第18回全国障害者芸術・文化祭」以来6年ぶりで、即位後は初めて。
正午ごろ、特別機で大分空港に到着し、今年7月にリニューアルした県種苗生産施設を訪れた。魚の成長を促進する緑色発光ダイオード(LED)を使った水槽の仕組みについて、県漁業公社の景平真明専務理事(62)から説明を受けた。
続いて、県内の漁業者から稚魚の放流や地域の漁法などを聞いた。説明した漁業者によると、天皇陛下は「温暖化で海水温が上がり、魚の取れ具合はどうですか」などと熱心に質問を重ねたという。
大分市内のホテルに移動後、絵画や習字の作品を鑑賞し、県内の小中学生と交流。県内外の漁業関係者約20人と懇談し、資源保護や水産教室などの活動紹介に耳を傾けた。
宮内庁によると、両陛下は「2人そろって6年ぶりに大分県を訪れ、うれしく思います。県種苗生産施設では、稚魚を見ながら豊かな海で成長する姿を思い浮かべました」と感想を述べたという。
大会は10日、いいちこグランシアタ(大分市高砂町)で式典を開き、別府港4号埠頭(ふとう)(別府市北石垣)では漁船団の歓迎パレードや魚の放流行事がある。1981年に第1回大会が鶴見町(現佐伯市)の松浦漁港で開かれて以来、県内では2回目。当時は皇太子(現上皇)ご夫妻が来県された。