時速194キロ死亡事故、被告側「危険運転に当たらぬ」 大分地裁初公判で争う姿勢

時速194キロ交通死亡事故の初公判が開かれた大分地裁=5日、大分市荷揚町

 大分市の県道で2021年2月に時速194キロで車を運転して死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた被告の男(23)=同市=の裁判員裁判は5日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で初公判があった。被告側は「危険運転致死罪に当たらない。過失運転致死罪を適用するべきだ」と争う方針を示した。
 公判の最大の争点は、法定刑が最長懲役20年の危険運転致死罪が成立するかどうか。
 検察側は、同罪の対象となる(1)進行を制御することが困難な高速度(2)妨害目的運転―の2類型に当たると主張。「時速194キロで走行すると車体が大きく揺れ、ハンドル操作を誤る恐れがある」と指摘した。
 さらに、視野が狭まる夜間の高速走行だったとして「被害車両に衝突するか、もしくは急な回避措置を取らせるしかなかった。常軌を逸した高速度による危険極まりない運転」と非難した。
 弁護側は「被告のハンドル操作がぶれたりしたことはなく直進できていた。『妨害目的』は、割り込みや幅寄せ、あおり運転といった運転態様を特別に重く処罰するための要件。被告は他の車両の通行を積極的に妨げようとしていない」と反論した。
 男は辛島裁判長から起訴内容の認否を聞かれると、「よく分かりません」と応じた後、被害者と遺族に「心より謝罪する。申し訳ございませんでした」と頭を下げた。この日、地裁は男の氏名を匿名にして審理した。事故当時19歳だったことを考慮したとみられる。
 6日からは事故を捜査した警察官のほか、視野の専門家らへの証人尋問がある。15日まで計6回の審理を開き、28日に判決を言い渡す。
 起訴状によると、事故は2021年2月9日午後11時ごろに発生。大分市大在の県道(法定速度60キロ)で、男の乗用車が時速194キロで直進中、交差点を右折してきた乗用車に激突。乗っていた同市の男性会社員=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた―とされる。
 大分東署は21年4月、男を危険運転致死容疑で書類送検した。大分地検は22年7月、法定刑が懲役7年以下の過失運転致死罪で男を在宅起訴した。遺族は「過失で起こす事故ではない」と声を上げ、2万8千筆を超える署名を検察に提出。地検は同12月、危険運転致死罪に切り替えた。

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