【別府】別府市が新たな誘客構想「新湯治・ウェルネス」の研究・実践拠点に位置付ける温泉施設について、計画地として扇山麓の市有地(鶴見、約15ヘクタール)を選んだことが8日、関係者への取材で分かった。新たな掘削はせず、付近の源泉から給湯管をつなぐ「引き湯」を採用する。事業推進は長野恭紘(やすひろ)市長の3期目の公約。
新湯治・ウェルネスは、温泉の効能を科学的に証明して発信することで、別府観光の魅力を高める構想。食事などと温浴を組み合わせた滞在型プログラムを提供予定で、市は昨年3月にまとめた調査報告書で研究・実践拠点に「体験」「ラボ」「ハブ」の3機能を持たせると説明していた。
計画地に選ばれたのは、東九州自動車道の別府インターチェンジ、別府扇山ゴルフ倶楽部の近くにある市有地。市は昨春以降、21カ所の候補地から選定を進めていた。10日、発表する。
市は温泉資源の枯渇対策も進めている。3月に策定した「市温泉マネジメント計画」の検討会合で、温泉施設で使われないまま捨てられる湯の存在や、地熱発電所が蒸気のみ利用し、熱水を大量に排出している課題について議論していた。
長野市長は新たな観光資源の開発を目指し、「東洋のブルーラグーン」構想で鍋山エリアに大型屋外温泉施設(スパリゾート)の開設を模索。温泉資源の枯渇を懸念した市民や市議会の反対を受け、2022年9月に関連議案を撤回した。その後、新湯治・ウェルネス構想を進めてきた。