21年度の大分県内、温室効果ガス排出量が3.5%増 経済活動の持ち直しが影響

県内の温室効果ガス排出量

 県内の温室効果ガス排出量は2021年度、二酸化炭素(CO2)換算で前年度から3・5%増加した。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済活動の持ち直しの動きが影響したとみられる。排出量の約7割は製造業を中心とする産業部門が占めており、工場の稼働に伴う増加をどう抑えるかが課題。県はエコエネルギーの導入支援などで「脱炭素」の推進を図る。
 県環境政策課によると、排出量はCO2換算で推計2947万3千トン。20年度より98万9千トン増えた。コロナ禍前の19年度との比較では4・5%(139万9千トン)減。
 このうち温室効果ガスの大半に当たるCO2は、20年度比3・7%増の2893万4千トンだった。主な4部門を見ると、「産業」は2096万2千トンで、6・6%(130万3千トン)増えた。
 一方、他の3部門はいずれも減少。「家庭」は17・0%減の107万6千トン。事務所や小売業などの「業務その他」は4・2%減の142万7千トン。「運輸」は2・0%減の209万3千トンだった。
 減少の主な要因は、消費電力当たりのCO2排出量の低下。原子力発電など化石燃料以外の発電割合が拡大したため、計算上、家庭などで電力を使った際の排出量が減った。家庭部門は外出自粛の緩和に伴う在宅時間の減少、運輸部門はエコカーの普及も寄与した。
 国のデータを基に県が算出した県民1人当たりのCO2排出量は、都道府県別で最も多い23・3トン。全国平均の7・5トンの3倍以上に当たる。特に大分市臨海部に大規模工場が多く立地していることが影響している。
 県が昨年度改定した地球温暖化対策実行計画は、温室効果ガスの排出量を30年度までに、起点となる13年度と比較して36%削減する目標を掲げている。森林による吸収量も含めて計算しており、21年度は25・8%だった。
 達成に向け、コンビナートで水素をエネルギーとして活用する技術の開発や、省エネ機器の導入、リサイクルの促進などを図る。
 同課は「個人でも快適に過ごせる範囲で省エネに取り組んでもらいたい」と呼びかけている。

<メモ>
 温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)が9割以上を占める。他にもメタンや一酸化二窒素などがあり、全体の排出量は地球温暖化への影響をCO2に換算した値で表す。県によると、排出量の公表は国のエネルギー消費統計を基に県が推計した値を用い、算出に時間を要するため3年前の数値になるという。

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