【独自】障害年金、医師の判定を破棄

障害年金について医師の判定結果を記す「認定調書」の記載例(厚労省の資料より)。日本年金機構が一部のケースでひそかに破棄していたことが分かった

 障害者に支給される国の障害年金について、実務を担う日本年金機構で、支給か不支給かを審査した医師の判定結果に問題があると職員が判断した場合、判定記録をひそかに破棄し、別の医師に頼んで判定をやり直していたことが28日、関係者への取材で分かった。年金機構は取材に対し、こうした取り扱いを認めた上で「件数を含め事実関係を確認中」としている。

 医師の判定を否定する権限は職員にはないが、長年続いていたとみられる。判定のやり直しで年金を受け取る権利を奪われた人がいる可能性もある。職員の判断が支給の可否に影響を与えたことで、制度の信頼が揺らぎそうだ。

 障害年金は市区町村役場などで申請すると、全国から書類が機構の障害年金センターに送られる。判定する医師は障害の種類によって分かれる。

 審査は医師が原則、単独で行う。関係者によると、医師の主観や個人差があるため、支給・不支給の判定に対し職員が「甘すぎる」「厳しすぎる」と判断した場合、記録をシュレッダーなどで廃棄。別の医師に依頼する。1人目の医師には伝えないという。

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