【ベレン共同】ブラジルで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、気候変動による災害に備える「適応」のための資金を2035年までに世界全体で3倍に増加させることを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点だった「化石燃料からの脱却」には触れず、脱却に向けた工程表の策定に関する直接的な記述も見送った。
合意文書は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を1・5度に抑える「パリ協定」の目標達成に向け、各国に温室効果ガス排出の削減など対策実施の加速を促す内容。調整は難航し、21日までの会期を1日延長した。
議長国ブラジルのルラ大統領が提案した工程表策定には欧州各国など80カ国以上が賛同したが、産油国などが反対し、文書には入らなかった。
COPの意思決定は全会一致が原則だが、閉幕会合でブラジルのコレアドラゴ議長は、工程表策定の可能性を模索し続ける意向を表明した。化石燃料を含めた多様な電源の使用を当面見込む日本は、工程表の策定には慎重姿勢を示している。