防衛省のシンクタンクである防衛研究所は20日、中国に関連する軍事動向を分析した「中国安全保障レポート2026」を公表した。中国がロシアとの合同演習を通じて軍事協力を進展させていると強調。ロシアと北朝鮮の接近も相まって、日米韓と中ロ朝の対立構図が北東アジアで強まる可能性があるとして安保上の懸念増加を訴えた。
中国に関し、台湾や南シナ海問題を巡って自国の安全保障が脅かされているとみて、ロシアとの合同軍事演習を通じて対外的なシグナルを発信していると指摘。ロシアとは米国への対抗で一致しているものの、ウクライナ侵攻では距離を置いていると記した。
ロシアについては、ウクライナ侵攻を優先し、欧米諸国の支援を揺るがそうとしていると解説した。ベラルーシへの核兵器配備宣言や北朝鮮による部隊派遣を例に挙げ、欧米諸国の行動を慎重にさせる「恐怖カード」を使っていると明記した。
レポートは年1回公表し、英語版と中国語版も作成。研究者が独自の視点で執筆したもので、政府の公式見解ではないとしている。