ウクライナの首都キーウに押し寄せるロシア軍の無人機に対し、動員対象ではない裁判官らが夜間に機関銃で迎撃任務に当たっている。迎撃を避けるために無人機は今年に入って飛行高度を上げ、撃墜は一層難しくなったが、隊員は「高額なミサイルを使っての迎撃は軍の役目。われわれは安価な弾でできる防衛を担う」と意気盛んだ。
「元々は素人。撃ち方も手探りだった」と最高裁判事ビタリー・ズイエフさん(48)が苦笑した。迎撃に使うのは隊員が愛着を込めて「大先輩」と呼ぶ第2次大戦時代の4連装機関銃。イラン製無人機「シャヘド」が飛来する闇夜、目印に赤いレーザーポインターを照射しエンジンを狙う。機関銃と弾は軍から支給を受け、仮想現実(VR)を利用した施設で訓練を重ねている。
部隊には有志ら約500人がおり、市内10カ所に隠した迎撃拠点に4人一組で潜む。24時間態勢で、空襲警報が鳴ると、軍からの情報を示すタブレットで無人機の位置を確認。敵機は赤色、味方機は青色で表示される。今夏の攻勢で飛来数は急増し「多い日は10機ほどが頭上に来た」という。