性同一性障害の当事者が戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた家事審判で、特例法が定める要件のうち「変更後の性別の性器部分に似た外観を持つ」との規定を、札幌家裁が「違憲で無効」と判断していたことが29日、関係者への取材で分かった。決定は19日付。身体的治療なしでの性別変更を認めた。同家裁は別の申立人の審判でも、19日付で「外観要件」を違憲・無効とする判断を示している。
代理人弁護士は、外観要件を違憲とする司法判断が明らかになったのはこの2件が初めてとみられるとし、「性別適合手術のみならず、(体つきに変化をもたらす)ホルモン療法も受けられない当事者に道を開くもので、大変意義の大きい判断だ」と評価した。
弁護士によると、違憲判断が新たに判明した家事審判の申立人は、北海道に住む50代。性別適合手術をしておらず、ホルモン療法も過去に2カ月ほど受けたが、副作用のため中止したといい、2024年3月に戸籍上の性別変更を申し立てた。