患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」の見直しに関する厚生労働省専門委員会で、制度に詳しい有識者は28日、自己負担を一律に引き上げることに懸念を示した。「受診控えや治療中断による健康状態の悪化を招きかねない」として、低所得層や特定の疾患を抱える患者への配慮が必要だと訴えた。
制度は、年収や年齢に応じて自己負担の上限額を定めている。東京大の康永秀生教授(臨床疫学・経済学)は「重い病気にかかっても家計を破綻させないのが制度の趣旨だ」と述べた。
政府は昨年末、上限額を段階的に引き上げる見直し案をまとめたが、石破茂首相が全面凍結と今秋までの再検討を決めた。