愛媛県愛南町を2020年12月に出港した漁船「第8しんこう丸」(199トン)が船長ら6人の乗組員ごと行方不明になり、昨年2月に和歌山県すさみ町沖の海底で見つかった事故で、運輸安全委員会は28日、調査報告書を公表。船体に目立った損傷はなく、衝突した可能性のある船舶も確認されず、沈没の経緯は不明と結論づけた。
報告書によると、漁船は12月22日午前11時ごろ、養殖ブリの活魚約40トンを積んで三重県尾鷲市に向けて出港した。
午後7時半ごろ、他の活魚運搬船の乗組員による目撃が最後となった。海上保安庁の調査で、他船のレーダーに記録された漁船の映像が、23日午前4時ごろ消失したと判明。この間、航行に支障が出るような天候ではなく、遭難信号の発信も確認されていない。
24日朝、すさみ町沖で燃料とみられる油が浮いているのが見つかった。昨年2月、民間調査船と遠隔操作型無人潜水機により、海底に沈んだ船体が不明漁船と確認された。
安全委は、再発防止策として航行情報を発信する装置を常時作動させるのが望ましいと提言した。