第2次大戦で失明兵士の短歌継承

歌を披露するソプラノ歌手の神戸薫子さん=6月、東京都千代田区のしょうけい館

 〈ふと思う我が名書けずになりてより幾月ならん文字のかきたし〉

 第2次世界大戦で失明した兵士たちが作った短歌に、作曲家の越谷達之助(1909~82年)が音楽をつけた「戦盲歌」という歌曲集がある。約80年前のこの作品に込められた平和への思いを伝えようと、歌人の佐佐木頼綱さん(45)と妻でソプラノ歌手の神戸薫子さん(38)が歌い継ぐ活動を続けている。

 「短歌に共感することで、戦争が過去のものではなく、今を生きる僕たちのものにもなる」。6月、戦傷病者に関する資料を展示するしょうけい館(東京)で、佐佐木さんは短歌を紹介しながら熱弁を振るった。続けて神戸さんが録音のピアノ伴奏に合わせ、3曲を情感たっぷりに歌った。

 歌曲集は全10曲で構成され、〈包み解き冬着の白衣まさぐればほのぼのと母が恋しかりけり〉などの短歌が歌詞で使われている。短歌は、佐佐木さんの曽祖父で歌人の佐佐木信綱と弟子の伊藤嘉夫が、失明した兵士の作品をまとめて43年に刊行した歌集「戦盲」に収められたもの。

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