高級ブランド品の製造が盛んなイタリアで、下請け業者による移民労働者の搾取が問題となっている。劣悪な環境での低賃金労働が横行しており、司法当局は取り締まりを強化。委託元の高級ブランド側に対し、ここ数年で5件の措置を講じた。
7月中旬、北部ミラノの裁判所は高級衣料品ブランド、ロロ・ピアーナを1年間の司法監督下に置いた。同社はフランスの大手、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下で、カシミヤを使った製品などで知られる。調査を担った警察当局は「労働条件や下請け業者の実態把握を怠った」と指摘した。
報道によると、ロロ・ピアーナは生産設備を持たない下請け業者に委託し、この業者がさらに別の会社に外注。中国人労働者らを寮に住まわせ、夜間や休日を含めた長時間労働を強いた上、水準よりも大幅に低い賃金しか支払っていなかった。
イタリアには高級ブランドの生産を担う中小企業が数千あり、世界の生産量の約半分を占めるとの分析もある。