信託銀行などの金融機関が葬儀の手続きや買い物などを代行する単身高齢者向けサービスに力を入れている。高齢化が進み、身寄りがいないことや家族に負担をかけたくないと考える顧客が増えていることが背景にある。銀行側はサービスを通じて顧客との接点を増やし、別の金融商品の提供につなげたい考えだ。
単身高齢者は増加傾向にある。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の世帯のうち1人暮らしは2024年に903万世帯となり、過去最多を更新。独居での生活や財産の円滑な処分といった課題は多い。
三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」は契約者が死後の希望をまとめたエンディングノートを作る。死亡すると銀行側が葬儀などを手配する一方、公共サービス解約やスマートフォンのデータ消去といった手続きを代行する。最低300万円の信託が利用に必要で、葬儀代などの実費や手数料を出し、余った分を遺族に返す。
19年末にサービスを開始。25年3月末時点の契約者数は4年前と比べ約5倍に達した。