廃棄される深海魚を食卓に

深海魚で作った魚醤とふりかけを手にする製造担当者の中西美智子さん=愛知県蒲郡市

 国内有数の深海魚水揚げ量を誇る愛知県蒲郡市で、「喜栄丸カベヤ水産加工」が廃棄される深海魚の活用に力を入れている。取れた深海魚の約3割が捨てられていたが、魚醤やふりかけへの加工を手がけ、学校給食で提供されるまでになった。海水温上昇の影響などで漁獲量が減る中、製造担当者の中西美智子さんは「貴重な資源を廃棄せずに活用することで漁師の収入増にもつなげたい」と意気込む。

 同社の前身の会社は5年ほど前まで沖合底引き網漁船「喜栄丸」を操業していた。深海魚は水揚げされると水圧の変化で死ぬ上、沖でよく取れるメヒカリやニギスは、サイズが小さかったり傷がついていたりすると市場価値がつかず、船上で海に捨てていた。

 「もったいない」。船員から意見が多く寄せられ、8年ほど前、活用を模索するため水産加工部門を設置した。

 試行錯誤を重ね、メヒカリを塩漬けし熟成させる魚醤と、ニギスを乾燥させて地元特産のみかんの皮などと調合するふりかけを開発した。中西さんは「魚離れが進む食卓でも手軽に深海魚を食べられる商品」と太鼓判を押す。

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