訪問介護事業者の倒産は2025年1~6月に全国で45件あり、2年連続で過去最多を更新したことが9日分かった。前年同期の40件から12・5%増で、介護報酬の減額が影響した。集計した東京商工リサーチは、物価高でコスト削減が難しいため、自力での経営改善は「限界」だとして公的支援を訴えている。
負債額1千万円以上を対象に集計した。45件の倒産のうち38件は、介護報酬の減額や利用者減少による売り上げ不振だった。介護報酬は厚生労働省が原則3年に1度改定しており、訪問介護の基本報酬は24年度改定で減額となった。
各事業者は報酬減により、賃上げに回す資金が乏しくなっている。政府は補助金などで支援を続けているが、介護職の賃金は全産業平均を下回ったままだ。ヘルパーの採用が難しく、人手不足が一因となった倒産も6件あった。
倒産事業者の規模は、これまで小規模・零細事業者が大半だった。今回は中小事業者にも広がり、業界の苦境が鮮明だ。都道府県別では、東京都が6件で最多。和歌山県が5件、兵庫県が4件で続いた。