マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者が、過去最多を上回るペースで増えている。国立健康危機管理研究機構によると、全国の医療機関から報告された今年の累計患者数は100人を超えた。マダニは草むらなどに多く生息し、春から秋に盛んに活動するため、厚生労働省は夏休みのレジャーや農作業でマダニに刺されないよう、肌の露出を避けるなどの対策を呼びかけている。
SFTSはマダニに刺されるほか、ウイルスに感染した人や動物の血液などを介して感染することもある。6~14日の潜伏期間の後、発熱や嘔吐、下痢、意識障害などの症状が現れ、致死率は10~30%とされる。
今年7月20日までに各地の医療機関から計112人(速報値)が報告された。静岡、愛知、三重、香川、宮崎の5県で、少なくとも10人が死亡している。
予防できるワクチンはなく、抗ウイルス薬で治療する。厚労省は、山や草むらに入る際には長袖、長ズボンを着用し、袖口やズボンの裾を軍手や靴下の中にしまうよう勧めている。