厚生労働省の労災保険法に関する有識者研究会は29日、労災で亡くなった人の配偶者らが受け取る遺族補償年金の性別による支給要件の違いを解消すべきだとの中間報告書をまとめた。現在は夫を亡くした妻に年齢制限はないが、夫は妻の死亡時点で原則55歳以上でなければ受給できない。厚労省は解消に向け、労働政策審議会部会での議論を経て、来年通常国会への同法改正案の提出を目指す。
厚労省によると、配偶者間で男女差のある年齢要件は、労災補償年金制度が創設された1965年以来、変更されていない。当時は夫と死別した女性による生計維持は困難との考えが背景にあった。研究会は女性の就業率の上昇や共働き家庭の増加を踏まえ、男女差に「合理的理由を見いだすことは困難」と判断した。解消の方法は、夫の年齢制限を撤廃すべきだとの意見が多数を占めた。