【共生リアル―新たな隣人たち】公教育の日本語指導① 県内の対象児童・生徒、過去最多152人

大分市立下郡小で、ベトナム国籍の児童(左)に一対一で日本語を教える日本語指導専任指導員=7月上旬、同市下郡北

 大分県内の公立小中高校で、外国人の子どもら日本語指導が必要な児童・生徒が2025年度に152人に達し、過去最高を更新した。日本語能力の有無は子どもたちの進路を左右する。各教委は「日本語指導員」といった呼び名で支援員の配置を進めており、新たな教育ニーズへの対応が課題になっている。
 日本語指導が必要な児童・生徒は全国的に増えている。文科省の25年度調査では全公立小中高校の4割弱に当たる1万2千校に8万4千人が在籍していた。
 県教委によると、県内の対象児童・生徒はデータのある中で最も古い18年度には66人だった。以降、別府、大分、中津各市を中心に増加傾向が続く。小中学校が特に多く、25年度は全体の9割超(140人)を占めた。
 県内の在留外国人は同期間に8割近く伸び、2万3千人になっている。
 在留外国人統計で小中学生相当年代(5~14歳)の在留資格を比較すると、18年12月は「家族滞在」が最多の計90人。最新の25年同月はほぼ2倍の計179人に拡大した。対象年代の全人数は245人から395人に増えており、増加分の6割近くを「家族滞在」が占めた。
 一方、全年代では働きながら家族も呼び寄せられる「技術・人文知識・国際業務」が2・5倍の1561人と伸びが目立った。こうした変化が、日本語指導の必要な小中学生の増加に関係しているとみられる。
 県内各教委によると、子どもたちの国籍はアフガニスタン、インドネシア、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマーなど多様。在籍校もばらばらで対応の難しさにつながっている。
 市町村教委は国の費用補助を受けて支援員を配置している。会計年度任用職員を「日本語指導員」「日本語指導専任指導員」といった肩書で雇うほか、「外国人子女等教育相談員」と名付けた有償ボランティアらも併用している。
 県教委のデータによると、25年度は対象の小中学生140人に対し、支援員は53人。別府市は49人に対し17人、大分市は40人に対し16人、中津市は16人に対し8人―だった。
 3市教委によると、日本語の習熟度に個人差があり、支援員の適正数は一律に定められない。その上で、人件費確保は現状でも厳しく、対象児童・生徒がさらに増えた場合は「いっそう難しくなる」と説明する。
 県教委の担当者は「外国人材から選ばれる県を目指す以上、子育て環境の整備はセットだ。日本語指導の体制づくりをさらに進めていく」と話した。

<メモ>
 子どもが外国籍の場合、小中9年間の「就学義務」は保護者に課されない。一方、文科省は国際人権規約(1979年批准)、児童の権利条約(94年批准)を踏まえ、希望があった場合は公立学校への就学を認めるよう求めている。民族学校、インターナショナルスクールに通う選択肢もある。

 ×  ×  ×

 県内には外国から来た子どもたちも暮らしている。取り巻く課題の一つが、慣れない日本語で受ける学校教育だ。公教育がどう支えているのか追った。

■分断防ぐ「基盤的投資」
 日本で暮らす外国人の子どもへの教育は、どう位置付けられているのか。
 2023年6月に閣議決定された第4期教育振興基本計画は、基本方針の一つに「誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進」を掲げている。
 「不登校」「医療的ケア児」「性的マイノリティー」などと並べて「我が国で学ぶ外国人の子ども」に言及し「学びの保障が必要」と明記している。
 外国人の子どもの教育充実を巡っては、文科省の有識者会議が6月に報告書をまとめた。日本社会の一員として自立し、責任を果たすには日本語能力の習得などが必須だと指摘。環境整備は「極めて重要な基盤的投資」であると強調し「放置は孤立や分断を生み、将来的な社会的負担の増大につながるおそれがある」と訴えた。

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