【Gateインパクト】消防団員として初出動

ジェットシューターで水をかける消防団員

 大分市消防団に入団して約4年。その間、住んでいる地域で火災がなく、出動機会がなかったが、先日、初めて火災現場に臨んだ。夕食を済ませて、風呂から上がった午後9時過ぎ。けたたましいサイレンを響かせ、自宅前の道路を消防車が何台も走り抜けていった。昼間に起きた近くの山火事は耳にしていたが、日没ごろに帰宅したときに煙が見えたわけでもなく、この時間まで消火活動が続いているとは想像していなかった。
 午後10時過ぎ、招集連絡が入った。団員服に袖を通し、安全靴を履く。連絡から数分後には玄関のドアを閉め、詰め所へ急いだ。乗り込んだのは、分団の軽トラックがベースの消防車だ。小回りの利く車体の後部座席に揺られながら、夜の山道を進んでいく。
 現場入りしたのは午前0時ごろ。山頂へ向かって延々と伸びる送水ホースを横目に登った先に、黒く焦げた広大な焼け跡が広がっていた。日中は防災ヘリが上空から散水を繰り返し、地上では119番が入ってから市消防局の隊員たちが炎と相対し続けていたという。表情には濃い疲労の色がにじんでいた。
 消防団員約30人に託されたのは、煙がくすぶる地面の残火処理だ。背負い式の消火器具「ジェットシューター」に水を入れる。初めての操作、20リットルの水の重さを覚悟したが、タンク部分は背中に自然とフィットする素材で、中に入った水が体の熱を和らげてくれた。ポンプを動かすストロークも驚くほど軽く、確実に水を送れた。
 煙の上がるくぼみを見つけては水を放ち、空になれば補給場所へ戻る。足場の悪い夜の山道を往復すること約5回。消防隊員がサーモグラフィーを地表に向け、温度が十分に下がったことを確認して、午前2時ごろにようやく鎮火が宣言された。
 空からの散水や山頂へ引かれたホース、そして最後は人の足と手で土を冷やす人海戦術。山火事は公設消防の力だけでは手が足りないという現実を肌で知る機会になった。
 山を下り、詰め所へ戻ると、深夜にもかかわらず妻が迎えに来てくれた。車に乗り込み、シートに身を沈めた瞬間、張り詰めていた緊張がほどけ、活動を終えた実感がじんわりと込み上げてきた。
 消防団員のなり手不足が叫ばれて久しい。仕事や子育てに追われる日々で、夜間の出動に時間を割くことは決して容易ではない。それでも、地域が危機にあるとき、仲間と肩を並べて自分たちの町を守り切る手応えと誇りは尊い。
 消防団員も、いいものですよ―。車内から闇に沈む山を振り返り、胸の奥でそう思った。(原田宏一)

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