耶馬渓町の住民有志、文化財の「今」を冊子に 記録誌掲載の30件再調査「継承したい」

冊子を発行した「耶馬渓町の歴史と文化を学び継承する会」のメンバー=中津市耶馬渓町

 【中津】中津市耶馬渓町の歴史と文化を調査研究している住民有志の会が、冊子「継承したい耶馬渓の文化財」(A4判、30ページ)を作った。旧耶馬渓町教委が1989年に発行した記録誌に掲載された文化財を再び調査し、現在の保存状態を盛り込んだ。埋もれがちな地域の文化・歴史資源の存在を多くの人と共有し、守り続けていきたいという。
 取り組んだのは「耶馬渓町の歴史と文化を学び継承する会」(青木憲行会長)。2021年に18人で結成し、活動している。
 冊子作りは、人知れず文化財の荒廃が進んでいることへの危機感から計画。35年以上前の記録誌「耶馬渓町の文化財」に載っていた30件を対象に、3年かけて現状を調べた。
 ▽周囲にも遺物が多い「中尾邸三重塔・五重塔と、覚音寺跡」(三尾母)▽平安時代の作とみられる「甲屋敷薬師如来立像」(金吉)▽石造りの塔類が散在する「大木原普門寺石塔群」(山移)▽大和政権に従わなかった集団が住んだとされる「蜘蛛(くも)の岩窟」(深耶馬)―など。
 ほとんどが当時の町が指定した有形文化財や史跡。未指定のものもあるが、いずれも先人の暮らしぶりや思考に触れられるものばかり。それぞれ写真を付け、所在地、年代、特徴と現況を載せている。
 今回の調査では新たな知見や知識が得られた。一方、文化財の損傷は進行しており、周囲が荒れて近づきにくく維持管理が一段と難しくなっていることが分かったという。
 青木会長は「数百年も守ってきたものを、この時代で終わらせていいのかと思う文化財もある。社会全体の問題として、冊子が保存や維持管理について考えるきっかけになれば」と話す。
 市の助成金を利用して200冊を発行。歴史文化関係の機関などに配布した。市内の各図書館で閲覧できる。
 1冊千円(送料別)で販売もしている。希望者は同会事務局の松永喬さん(taka.matsu2034@gmail.com)。

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