「やっぱり等身大がいい」。
見栄を張らないとか、そういう人間の内面の類いの話ではありません。そう、特撮ヒーローについての話です。ここで言う等身大とはつまり、「ヒーローの体長がだいたい現実世界の人間と同じくらい」を指しています。
1997年生まれ29歳の私は、物心がついた頃にはすっかり特撮ヒーロー番組の視聴が習慣になっていました。2000年、それまでしばし休止していた「仮面ライダー」シリーズ(今日で言う平成ライダーシリーズ)のテレビ放映が始まった時、私はまさに子ども盛りだったわけです。
毎週日曜朝は魅惑の時間。午前7時半からの「スーパー戦隊」、「平成仮面ライダー」にまたがる1時間は、1週間で最も幸福な時間でした(現在、スーパー戦隊シリーズは終了。仮面ライダーシリーズも日曜朝9時になっています)。
ちなみに「平成ウルトラ」シリーズは土曜日。もちろん見ていました。
さて、子ども盛りは三十路を迎えた今も収まるどころか、さらに勢いを増しています。そして、冒頭で述べたように「等身大」のヒーローに対するこだわりは日に日に増長しているのです。
では、何にこだわっているのか。各作品の作風とも連動しますが、まずは「命懸けで戦っている感が、どれだけ伝わってくるか」です。
例えば平成ライダー第1作「仮面ライダークウガ」(2000年)の描写。主人公の五代雄介(演・オダギリジョー)が毎話、命懸けの戦いを繰り広げます。アクションやアフレコの演技がとにかく痛々しい上に苦しそうなのが、リアル路線を徹底追求した同作の特徴の一つです。
第18話「喪失」は、物語序盤からクウガ(五代もといオダギリ氏)が怪人の猛毒で瀕死の重傷を負います。「毒を盛られたらそりゃこういうふうになるよなぁ」と思わずにいられない圧巻の等身大描写は、一見の価値アリです。
もう一つ例を挙げましょう(しつこいですかね?)。
深夜番組でありながら今や「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラ」に並ぶ人気作「牙狼」シリーズ(05年~)です。
細かい設定は各々で調べていただくとして、ものすごくざっくり言うと、騎士がめちゃくちゃ体を張って怪物と戦います。
同作は作品数がかなり多いですが、共通して格闘、剣術、ワイヤーアクションがかっこいい! 痛そう!ってな具合に楽しめます。公式アカウントがユーチューブに作品を公開しているので、これも一見の価値アリです。
そしてこの「牙狼」シリーズに初期からアクション監督として携わった横山誠監督が、アクションを担当した映画「仮面ライダー THE FIRST」(05年)、次作「仮面ライダー THE NEXT」(07年)は私的等身大ヒーローアクションの到達点ではないかと考えております(異論はたくさんあると思います)。
この2作は言わずと知れた「仮面ライダー」第1作を大胆にリメークした作品。キャラクターデザインも、よりスタイリッシュに洗練された姿に生まれ変わっています(気になる方はぜひ画像検索してみてください)。
あまりにスタイリッシュ過ぎて、何度「この姿になりたい!」と思ったことか(今もですが)。
で、何が到達点かというと「その辺にいる人が改造されて戦う羽目になった感」と「超人が現実にいたら、こんなふうに戦うんだろうな感」の2点です。
この2作、基本的にアクションシーンは実写でCGはあまり使っていない(多分。有識者の方、どうでしょうか?)とみられるので、体をとにかく動かす動かす。
あるシーンでは、幅が数十センチのバーのカウンターに、前宙しながら飛び乗ってさらに戦いを続ける―という、「うわぁ…失敗したら痛そう…」と半ば引いてしまうようなアクションが。2作とも配信されているので一見の価値、あります!
調子に乗って熱く語って(書いて)しまいました。私たちと同じようなサイズ感であるが故に、戦いに伴う痛みや苦しみが自分に置き換えやすい、没入して物語を楽しめるのが「等身大ヒーロー」である―。
いかがでしょうか。特撮に興味を持っていただけましたか?「1話だけなら…」と再生ボタンを押していただければ、一ファンとして本望です。
というわけで、次回は「ヒーローたちの私服について―夏服、冬服からみる劇中と現実世界の交わり・特撮の体感型鑑賞法」についてご紹介します。
(富高萌南実)