【Gateインパクト】出版社のしおり

 本を購入する際の楽しみに、挟み込まれた新刊案内やしおりがある。中でもしおりは、単に読書の目印にとどまらない個性があり、12センチ×4センチほどの小さな紙片がメディアとして機能しているように思う。しおりを常時入れる出版社やレーベルは徐々に少なくなっているようだが、夏のキャンペーンではオリジナルのしおりが特典に付くことも多い。

 そもそも出版社のしおりは、書店での販促や読書案内を目的として普及した。夏休みの時季に合わせた「新潮文庫の100冊」で有名な新潮社のフェアは1976年から半世紀にわたって実施されている。今年はオリジナルキャラクターの「ヨムム」がデザインされたしおりが付いている。

 他にも、出版社やレーベルの理念を伝える「ブランドメッセージ型」がある。光文社新書の「知は、現場にある」が代表例だろう。机上の理論ではなく現実から学ぶという編集方針を端的に表現している。1枚のしおりからレーベルの方向性が伝わる。

 講談社は現代新書、ブルーバックス、選書メチエにそれぞれオリジナルのしおりが付いている。現代新書のしおりは作家の名言入り。入手したしおりを、ハッシュタグを付けて発信するなど、コレクター的な人気がある。

 読書の楽しみを広げる「豆知識型」も魅力的だ。岩波書店の「本の豆知識」シリーズは、本の歴史や製本に関する雑学を紹介している。しおりでありながら読み物として成立しており、本好きにはうれしい存在だ。

 「デザイン型」のしおりもうれしい。文春文庫のしおりはシンプルな線画が印象的で、一目で認識できる。各社のキャンペーンで制作される期間限定のデザインは特別感がある。

 本を読み終えても、出版社のしおりと本はセットのような気がしてそのまま挟んでいる。内容だけではない出版文化の楽しみが、紙媒体の本に息づいている。(渡)

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