危険運転罪に数値基準、改正自動車運転処罰法が施行 「一般道50キロ超過」などで死傷事故起こせば適用

見直された処罰規定

 危険運転致死傷罪に「数値基準」を追加した改正自動車運転処罰法が21日、施行された。「一般道で制限速度を50キロオーバー」「呼気1リットル中0・50ミリグラム以上のアルコール濃度」といった数値を満たして死傷事故を起こせば、一律に適用する。大分市の時速194キロ死亡事故などで浮き彫りになった要件の曖昧さを解消し、悪質な運転の抑止につながることが期待される。
 歩行者や自転車が通らない高速道路では「60キロ超過」で線引きした。一般道を含めて、基準を下回っても9キロ以内の差なら「準ずる速度」と捉え、交通量や道路状況次第で適用する。
 例えば制限速度30キロの道路なら、時速80キロ以上で数値基準を満たし、例外なく処罰対象になる。71~79キロは「準ずる速度」となり、▽多くの児童が登校▽凍結した路面―といった危険性の高い状況に限って認定できる。
 「準ずる速度」に当たらないとしても、従前からの要件「進行を制御することが困難な高速度」が条文に残っている。「車が進路に沿って進行できていない」などが立証されたら、危険運転罪で処罰されうる。
 飲酒も高速度と同じように、従来の規定「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」を維持した。呼気検査で0・49ミリグラム以下でも、車が蛇行していたり、ドライバーが酩酊(めいてい)していたりすれば訴追される可能性がある。
 ドライバーが呼気検査を拒否すれば、捜査機関は令状を請求して強制的に血中濃度を調べることもある。血中の数値基準は「1ミリリットル中1・0ミリグラム以上」と定めた。
 県警の平松伸二本部長は今月16日の定例会見で「数値基準に縛られることなく、悪質で危険な事故には厳正に対処していく」と述べた。
 危険運転罪を巡っては、2021年2月に大分市の一般道(法定速度60キロ)で発生した時速194キロ死亡事故をはじめ、全国各地で適用されないケースが多発。「要件が分かりにくい」との批判が上がり、数値による明確化を図った。数値基準導入に加え、ドリフト走行も新たに危険運転罪の対象に追加した。
 改正道交法も21日に施行され、事故を起こさなくても飲酒検知で「呼気1リットル中0・50ミリグラム以上」が検出されれば、酒酔い運転として摘発されるようになった。

■一般道50キロ超過、大分県内は昨年71件摘発
 「数値基準」を超える危険な運転は、県内でどのくらい確認されているのか。
 県警交通指導課によると、一般道で昨年、「50キロ以上の速度超過」で摘発されたのは71件。常習的にスピード違反に及ぶドライバーも多く、今後、死傷事故を起こせば、例外なく危険運転致死傷罪で処罰されることになる。
 飲酒ドライバーが昨年、引き起こした人身事故は16件。このうち6件は「呼気1リットル中0・50ミリグラム以上」のアルコール濃度が検知された。
 県内の交通情勢に照らし、県警の河野康成交通部長は「数値基準の導入により、危険運転罪の立件は増えると想定している」との見解を示している。

<メモ>
 時速194キロ死亡事故は2021年2月9日午後11時ごろ、大分市大在の一般道で発生した。当時19歳だった男(25)は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市坂ノ市南、会社員小柳憲さん=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。24年11月の一審大分地裁裁判員裁判は危険運転致死罪で男に懲役8年の判決を下した。二審福岡高裁は今年1月22日、一審判決を破棄。過失運転致死罪に変更し、懲役4年6月に減刑した。検察側が最高裁に上告している。

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