大分県や畜産団体など、獣医師確保へ奨学金返還支援制度 官民一体では全国初…社会人採用の強化図る

県獣医師奨学金返還支援制度運営協議会の出席者=13日午後、大分市古国府

 行政や農協などで慢性的に不足している獣医師を確保するため、県や畜産団体などは新たに働く社会人獣医師の奨学金返還を肩代わりする制度を始める。官民一体で返還支援をするのは全国で初めて。即戦力の採用で和牛の畜産振興にもつなげる。13日に大分市で初会合があり、関係者が一丸となって取り組むことを確認した。
 県によると、獣医師養成の学部がある大学は県内になく、全国に17校だけ。毎年の卒業生は約千人で、動物病院などペットの診察を志す人が多く、自治体勤務や家畜を診察する獣医師の確保は全国的に難しくなっている。
 県は、卒業後に県などへの就職を条件に獣医系学部の学生に修学資金を給付する就業支援をしており、新たな支援制度を設けることで社会人採用の強化を図る。
 運営協議会には県と畜産関係などの11団体が参加。そのうち、県、県畜産公社、県農協、JA全農おおいた、県酪農業協同組合、県獣医師会の6団体が負担金を拠出して基金を設置。6団体に就職した場合、年間50万円を上限に最長10年間、最大500万円を代理返還する。
 大分市古国府のJA全農おおいたであった初会合には約20人が出席。会長に選ばれた森誠一・県畜産協会長は「確保対策をしなければ、公務員獣医師や産業動物獣医師の不足がますます深刻化する。制度を周知し、しっかりと運用していくことが重要」とあいさつした。
 本年度の負担金合計額は410万円。4人程度の制度利用を見込み、うち200万円を奨学金の返還支援に充てる。残額は来年度分として積み立てる。転職説明会や転職サイト、県のホームページなどを通して希望者を募る。
 県職員の獣医師は▽畜産に関する研究▽家畜伝染病対策▽動物愛護センターでの不妊・去勢手術―などに従事。和牛の輸出に向けた食肉衛生検査所での検査業務も担う。県では89人(今年4月時点)が在籍しているが6人不足しているという。
 県生活環境部の高木政幸審議監は「獣医師にしかできない仕事があり、公衆衛生や畜産振興の重要な役割を担っている。転職の選択肢を広げるきっかけにしてもらい、一人でも多く制度を活用してもらいたい」と話している。

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