ろうそく1本…中津市で夜通し語る怪談会「百物語」 伊勢さん企画、不可思議な話披露

暗がりの中、実話に基づく怪談を披露する伊勢海若さん(左)=中津市島田

 【中津】怪談の収集と口演活動をしている中津市の伊勢海若さん(31)の怪談会「この時代の百物語」が4日夜から5日未明にかけて、同市島田のカフェであった。実体験を聞き取りした100話を夜通し語る珍しいイベント。来場者は不可思議な世界にどっぷりと浸った。
 怪談会は午後10時から午前3時59分までの約6時間、休憩2回を挟んだ3部制。市内外の延べ41人が来場し、福岡や宮崎県などからも訪れた。
 「八面山(中津市三光)であった話です」。ろうそくを1本置いただけの暗がりの中、伊勢さんが語る。不思議、怪異、不穏、恐怖…。あり得ないストーリーの数々は、どれも県内外の体験者から取材した実話で、短編は1分程度、長編は10分以上。来場者の表情を見ながら次の話を選んでいった。
 99話目は体験当事者が語り、100話を終えると伊勢さんがろうそくを消した。
 怪談会歴10年という北九州市の田中聖子さん(42)は「連続100話聞けて感動した。いろんなジャンルがあり、伊勢さんの怪談は本当に幅広い」と満喫した様子。中津市の50代女性は「不思議な出来事を、人のぬくもりを感じながら聞くことができて良かった」と喜んだ。
 伊勢さんは中学3年生の時に不可思議な出来事を体験し、高校生から怪談収集を始めた。会社員になった今も休日は奇異な話を求めて人に会う。口話の形にしたものだけでも800話以上あるという。
 体験者の話を披露する「怪談師」の活動は2022年から。依頼を受けて年25回以上、九州を中心に関東、大阪エリアまで出向く。知人らとつくった怪談ユニット「おばけ座」で毎週、ユーチューブ配信もしている。
 常識や科学の枠内では理解できない出来事に、興味がある人は多い。伊勢さんは「怪談という枠組みでしか拾いきれない話も地域の歴史、文化と思う。収集家として実際に体験した人の話を記録する活動を今後も続けていく」と話している。 

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