山本五十六の書、別府市美術館に寄贈へ 最初の所有者「芸者おふじさん」についての小冊子も

井上敬子さんが父、孟さんの遺品である山本五十六の短冊を別府市に寄贈する=1日、大分市下郡東

 【別府】太平洋戦争で連合艦隊司令長官を務めた山本五十六(1884~1943年)の書(短冊・縦36センチ、横6センチ)が別府市美術館に寄贈される。「男は天下を動かし女はその男を動かす」と記され、山本の名言の一つとされる。懇意にしていた同市の芸者おふじ(本名・今村ハナ)さんに山本が贈っていた。
 別府市にあった旧日本海軍指定の料亭「なるみ」で、おふじさんは乗組員と親しくなった。仲良くなった山本から「しばらく会えないかもしれないから、何か書いてやろう」と言われ、短冊を受け取ったという。はっきりとした時期は不明。
 現所有者の井上敬子さん(77)=大分市下郡東=によると、短冊は父溝口孟(たける)さんの遺品。溝口さんは慶応大に在学中、海軍に志願して築城海軍航空隊(福岡県)に配属され、水上戦闘機の教官を務めた。子どもの頃からおふじさんと面識があり、休暇で別府市を訪れた際におふじさんと再会したという。
 戦後、溝口さんは医師となり、移り住んだ津久見市で産婦人科を経営。おふじさんとの交流は続き、短冊を譲り受けたのは1970年ごろ。軸物にして二重のキリの箱に入れ、宝物として大事に保管してきた。生前、溝口さんはしかるべき場所への寄贈を希望。井上さんは、山本、おふじさんと父を結び付けた別府市を選んだ。
 井上さんは「おふじさんは50人ほどの若い軍人さんと親しくなった。生き残ったのは3人だけ。そのうちの1人が父。だから短冊をくれたのだろう」。亡父の人生に思いをはせていた。
 井上さんは短冊の由緒を記録に残そうと昨年11月、小冊子「芸者おふじ 思い出ばなし」(A5判、40ページ)を自費出版した。1976年に地域情報誌「月刊アドバンス大分」に連載されたおふじさんからの聞き書きを一冊にまとめている。
 贈呈式は6日、市役所で。小冊子400冊も贈り、市美術館で無料配布してもらう。

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