【中津・宇佐・高田】県農林水産研究指導センター水産研究部北部水産グループ(豊後高田市)が試行しているアサリ増殖の取り組みに、一定の成果が出た。海底を網で覆って稚貝を保護することで、網がない周辺と比べ、成貝が高密度で確認された。アサリは全国的に漁獲量が減り、県内も低迷が続く。漁の回復を目指し、さらなる手法の実証と、漁業者への普及に取り組む。
県内のアサリ漁獲量はピークの1985年には2万7千トン超だったが、90年代後半に激減。2010年代には10トンを下回った。かつて産地だった中津市近海では近年、「数百キロ程度」(県漁協中津支店)になっている。
同グループは35年ほど前から、豊前海の資源調査を実施している。大幅な減少について、魚による食害や海流に流されていることが原因と推察。さまざまな対策を試す中、外敵からの保護と流失防止を両立できる二重網にたどり着き、7年前から検証を続けてきた。
二重網は編み目のサイズが違う2種類の市販ネットを重ねて縫い合わせ、袋状にしたもの。
23年5月、中津市の田尻沖1キロの石原(人工的に石を置いた海底)を二重網(縦5メートル、横1・2メートル四方)で覆った。
1年後、二重網の中には大きさが平均10・4ミリの天然貝が1平方メートル当たり3100個残っていた。今年4月には30ミリ以上(豊前海の採取可能サイズ)の成貝を同829個確認。約30キロが採れた。
二重網は同市小祝、宇佐市長洲にも2カ所ずつ同じ期間設置しており「田尻と同様、アサリの密度は高かった」(同グループ)という。
宮村和良グループ長(53)は「いろいろ試したが、成長したアサリがこれほど高密度になったのは初めて。期待してもらえるところまできた」と説明する。
本年度も設置の場所や仕方を変えて、さらなる実証を続ける。並行して、漁業者に二重網を活用してもらうため、県北部・東部振興局を通じて普及にも着手する。