静まりかえった射場で緊張の1本を決めても、普段通りの残心でまっすぐ的を見つめていた。
射詰めまでもつれた弓道女子個人決勝(5月31日)で、雄城台の阿南彰笑(3年)が2位以上を確定させて全国行きを決めた瞬間。固唾(かたず)をのんで見守っていた仲間から、この日一番の歓声が飛ぶ。それでも表情一つ変えず、立ち姿は凜としていた。
「精神のスポーツ」とも呼ばれる弓道。「今年が最後」という重圧とも闘う3年生。実力を発揮できないことも多く、今回個人で全国切符をつかんだのは阿南だけだった。日々の努力は全員が積んでいる。その成果を本番で出し切れたのが、精神力の強さだろう。
県内の高校選手は本年度1125人。レベルが上がれば上がるほど、最後は当日の調子や時の運にも左右される。阿南も前日の団体で予選落ちを経験。「泣き明かして迎えた」という個人戦で見事に結果を残した。
「全国ではもっと大きく引き、(引き絞って狙いを定める)会(かい)で伸びたい」。そこにしかない景色を見るため、初めての全国舞台に赴く。