【大分・佐伯】大分市下郡の田島幸信さん(68)と佐伯市本匠笠掛の高橋敬さん(75)が剣道の最高段位8段に合格した。受験資格は7段取得後10年以上の修行を積んだ46歳以上に限られ、合格率は1%未満。1日に京都市であった審査会には1042人が挑み、わずか9人が狭き門をくぐった。県剣道連盟によると、県勢が2人同時に合格するのは初めて。県内の8段剣士は15人となった。
■田島さん「自分自身をさらに高めていく」
田島さんは中学から剣の道へ。練習はきつかったが、剣道で増えた友人たちと一緒に頑張るうちにのめり込んだ。1979年に大分刑務所の刑務官となり、職域の大会で活躍。93年には団体日本一に輝いた。指導者も務め、定年まで部を引っ張った。
36歳で7段になり、8段への昇段審査を初めて受けたのは47歳の時だった。以来、毎回欠かさず挑んできた。
これまでの反省から「慌てず、焦らず、諦めず」を胸に刻み、本番に臨んだ。中段に構え、ぴたりと止めた剣先で相手に圧をかける持ち味を発揮。苦節21年で念願をかなえ、「手応えはあったが、自信があっても何度もはね返されてきた。まさか自分が合格する日が来るとは」。喜びよりも驚きが大きかったという。
大分市王ノ瀬の碩心館池永道場を拠点にほぼ毎日稽古を積み、子どもたちに指導もしている。「合格はうれしいが通過点。8段として他の模範となるよう、自分自身をさらに高めていく」と背筋を伸ばし、「子どもたちには勝ち負けだけでなく、強い心を育てる大切さを伝えていきたい」と気持ちを新たにした。
■高橋さん「100歳まで続けたい」
高橋さんは17回目の挑戦で最高位に届いた。7段だった父・剛さん(故人)の手ほどきで5歳で竹刀を握って70年。「うれしい半面、責任の重みも感じる」と話す。
審査当日は痛めた左足をテーピングで固めて臨んだ。万全の状態ではなかったものの、「集中できており、体が自然に反応した。今までにないことだが、自分がどう動いたか覚えていない」という。無我の境地で難関を突破した。
かつては体格差を埋めようと、細かく動いて相手を誘う戦法だった。8段を目指して研究を重ねるうち、「無駄に動かず、集中して一本を打ち切ろう」と考え方が変化。ゆったり構える現在の剣風にたどり着いた。「この形なら生涯、剣道ができる。今や生活の一部。100歳まで続けたい」
現役の歯科技工士として働く傍ら、佐伯市の妙信塾や合同練習会で剣の道を究める。佐伯鶴城高で指導もする多忙な日々。「感謝、思いやり、謙虚さを学ぶことができ、老いも若きも一緒に稽古できる。剣道との出合いに感謝し、今後は自分の精進だけでなく、後進の指導にいっそう力を入れる」と表情を引き締めた。