【日田】日田市日高町のダンワラ古墳で出土した鉄製の鏡「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡(きんぎんさくがんしゅりゅうもんてっきょう)」(国指定重要文化財)を地元で広く知ってもらおうと、民間団体が伝承館の開設を目指している。メンバーは「歴史や価値を語り合う場にしたい」と思い描く。
所蔵する東京国立博物館(東京都)の河野一隆学芸研究部長(59)によると、鉄鏡は1933年、鉄道工事で渡辺音吉さん(故人)方の裏山を削っていた時、渡辺さんが見つけた。2~3世紀の中国製。金・銀・珠で飾られた鉄の鏡は出土例が少なく、大変珍しい。
2019年には中国人研究者が、三国志の英雄として知られる魏の曹操の墓から出土した鉄鏡と酷似していると指摘。邪馬台国の女王・卑弥呼に贈られたものではないかと話題になった。
伝承館は、ダンワラ古墳の保存に取り組む「ヒタヒミコプロジェクト」(9人)が計画している。理事長の坂本道也さん(70)=福岡県小郡市=は渡辺さんのおいで、発見当時の詳細な話を直接聞いていた。貴重な古墳や鉄鏡を後世に伝えようと昨年、団体を設立。古墳の清掃活動や見学ツアーもしている。
鉄鏡は現在、九州国立博物館(福岡県太宰府市)が東京国立博物館から借り受けている。日田市では天領日田資料館(豆田町)にレプリカが展示されているが、認知度は低い。そこで「鉄鏡や古墳の価値を語り継ぎ、歴史の謎を語り合う場所をつくりたい」と考えたという。
場所は古墳近くのJR豊後三芳駅にある市所有の未使用倉庫(約10平方メートル)を借りられることになった。改装や賃貸の費用をクラウドファンディングのサイト「キャンプファイヤー」(目標額100万円、締め切り7月11日)で募っている。
坂本さんは「施設は最初から完成した形ではなく、支援者の皆さんと一緒に活用を考えていきたい」と話している。
<メモ>
東京国立博物館によると、ダンワラ古墳は鉄鏡と一緒に他の時代の遺物も出土しており、時代の特定が難しい。いろいろな時代の遺跡があり、山を削った際に一緒になってしまったとみられる。鉄鏡がなぜダンワラ古墳から出土したかの解明は、古墳そのものの研究進展が必要という。