乳幼児が感染する「RSウイルス感染症」について、妊婦が受けるワクチン接種が4月から公費負担で原則無料となった。2歳までにほぼ全ての乳幼児が感染し、重症化するケースもある一方、これまで約3万円の自己負担がかかることから接種率の低さが指摘されていた。定期接種となったことで「負担が軽くなった」として接種を選ぶ動きも出ているようだ。
RSウイルス感染症は急性の呼吸器感染症。初回感染時には重症化しやすく、特に生後6カ月未満では肺炎などを発症し入院に至るケースもある。ワクチンは「母子免疫ワクチン」と呼ばれ、28~36週の妊婦に接種する。体内にできた抗体が胎児に移行し、生まれた後の感染や重症化を防ぐ。
別府市石垣東のあおい産婦人科では、今月に入り接種する妊婦が増えているという。2人目を妊娠中で、ワクチンを初めて打ったという別府市のペットトリマーの女性(29)は「上の子どもが保育園に通っていて、出産後に感染・重症化するリスクを考えた。無料化は接種するきっかけの一つになった」と話した。
同産婦人科が以前、妊婦を対象に実施したアンケートでは、接種を見送った人の半分が費用負担を理由に挙げたという。本多和夫院長(60)は「無料化によってハードルは大きく下がり、接種が広がっていくのではないか」と話す。
接種率が低迷してきた背景には、ワクチンに対する認知度の低さもあるようだ。国立成育医療研究センター(東京)が今年1月に発表したRSワクチン接種の全国調査では、接種率は約11・6%にとどまり、接種しなかった理由として「予防効果を知らなかった」「ワクチンの存在を知らなかった」がそれぞれ3割に上った。
自治体もワクチンの周知に力を入れている。県は母子健康手帳の交付時や医療機関を通じてワクチンを紹介。県健康政策・感染症対策課は「新生児を守る有効な手段の一つで、出産直後の子どもを守ることができる」(池辺淑子課長)と強調する。
ただ、ワクチンは感染症を完全に防げるわけではなく、抗体の効果も時間とともに弱まるという。接種したところがはれたり頭痛がするといった副反応がみられることもある。県は「それぞれの妊婦で状況が異なるため、産婦人科医と十分に相談した上で判断してほしい」としている。