大分県立美術館10周年、穴井佑樹さんの作品を常設 日田杉使用「安らぐ時間感じて」

作品の説明をする穴井佑樹さん=大分市寿町の県立美術館

 県立美術館(大分市寿町)開館10周年の締めくくりとして新しい「顔」が加わった。大分市出身のアーティスト・穴井佑樹さんの作品「時の縁(えにし)にて―passage of time―」が、1階アトリウムに常設、4月26日に披露された。穴井さんは「自然の記憶を呼び起こして、縁側で過ごすような安らいだ時間を感じてほしい」と語った。
 作品は巨木の輪切りを思わせる円形作品3基で構成。日田杉を使い、「大地」「水」「木」をイメージした透かし模様のパネルがゆっくり回転する。電飾や自然光を受けて光と影が移ろい、自然の中で紡がれる時を表現している。
 穴井さんは1987年生まれ、福岡市在住。光や映像を使った体験型作品で知られるアート集団「チームラボ」を経て独立した。国内外で活動し、2019年に大分市で開いた初個展で、1万人以上を集めた。
 幼少期に玖珠町の祖父母宅の縁側で眺めた自然豊かな風景が創作の原点だという。自然を基調に人と自然、人と人の「縁」を表現してきた。県立美術館が掲げる「自宅の居間、縁側のような場所」のコンセプトに共感し「縁側という考えがしっくりきた。地元で表現できてありがたい」と喜んだ。
 田沢裕賀(ひろよし)館長は「美術館は過去、現在、未来が交わる場所で、この作品も時間の流れを感じさせてくれる」と話した。

■「大分の自然を掘り下げた」
 穴井さんに作品ついて話を聞いた。
 ―常設として意識した事は
 「企画展ではその時々の流行が反映されますが、長く展示されるので、普遍的な価値を表現したいと思いました」
 ―「大地」「水」「木」をテーマにしたのは
 「大分の自然を自分の中で掘り下げました。大地は地熱、水は海。湯けむりや波の揺らぎを抽象的な模様にしました。木は森です。男池(由布市庄内町阿蘇野)が好きで、森を歩き、木々の幹から根、枝葉の広がりをイメージしています」
 ―回転する動きは何を表していますか
 「時間の流れです。時計回りにして、それぞれ速度も変えています。水は刹那的に、木から大地に向け少しずつ進むイメージです」
 ―ずいぶん大きいですね
 「最初は30センチくらいでした。大きくしたら面白いと。でも人間のスケールと離れすぎると異物に感じられので身体感覚に収まるサイズを意識しました」
 ―来場者に一言
 「それぞれの中に自然との記憶があると思います。作品を眺めて、情景を呼び起こし、安らいでもらえたら。心が豊かになる縁側の時間になればうれしいです」

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