「たしかにあった幻」小児移植促進に取り組む主人公

「たしかにあった幻」の一場面(ⓒCINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025)

 さまざまな喪失に直面しながらも、そこに残された「つながり」を確かめる主人公の姿を描いたドラマ。
 日本は他の先進国と比べ、臓器移植のドナー数が最少で、待機日数も長期になっている。多くの患者は手術を受けることもなく亡くなってしまうというのが現状だ。
 フランスから来日したコリー(ビッキー・クリープス)は、神戸市の医療センターで働き、小児移植の促進に取り組んでいる。日本の価値観や死生観が影響して、なかなか状況は改善せず無力感に包まれる。
 一方、同居中だった恋人の迅(寛一郎)が、行方不明に。コリーは突然訪れた喪失に深く悲しむが…。
 「萌の朱雀」「あん」「朝が来る」の河瀨直美監督が6年ぶりに手がける劇作品。会議で日本医療の実情を話し合うシーンには、現役医師や看護師が参加しており、カメラワークも臨場感がある。ドキュメンタリー作品のような現実感がある。
 死別や離別によって目の前から姿を消してしまった人たち。だが移植された臓器や、人々の記憶などさまざまな形で確かな存在感を持ち続けている。残された人には何ができるのか。喪失の悲しみを経験したことのある人にはぜひ見てほしい一本。

 シネマ5で3月7日(土)~13日(金)の午前11時50分、午後4時20分(この日程以外も上映あり)

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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