「旅の終わりのたからもの」父娘の旅路、ユーモラスかつ温かく

「旅の終わりのたからもの」の一場面(ⓒ2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS)

 ルーツをめぐり、思いが交錯する父娘を描いたロードムービー。
 1991年。米国人のルーシーは、父親エデクの祖国ポーランドを一緒に訪れる。
 ルーシーは、父が育った場所などに行こうと、綿密な計画を立てていた。だが、エデクはどこ吹く風。用意した列車には乗らずタクシーを手配。目的地を変更したいと提案する始末。
 実は、エデクはホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を生き残ったという過去があった。娘の要望にあらがえず、強制連行されるまで暮らしていた持ち家にたどり着く。そこには貧困層の人々が住み着き、エデクたちが残した家具や食器を使って生活をしていたが…。
 出だしこそ「やりたい放題の父と、振り回される神経質な娘の珍道中」。彼らの行動原理が明かされると味わいが一変する。それは戦争が残した苦しみを伝えられなかった父と、問う勇気がなかった娘の物語。不器用な親子愛を交わす姿は、ユーモラスながらも胸をじんわりと熱くさせる。
 ワルシャワのゲットー跡地やアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所などを訪れ、親子が手にした「たからもの」とは何か。
 俳優の細かな演技が心地よく、伏線のように意味を持って物語を形作る。見応えたっぷりの一作だ。

 シネマ5bisで14日(土)~20日(金)の午前10時、午後4時20分。

 ◇ ◇ ◇

 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

最新記事
「大分県先哲叢書」に賀来飛霞と重光葵の2冊が加わる
けんしん美術展審査会、大分市の渡部さんに最高賞
大分県立アルゲリッチ記念館で中学生対象に音楽鑑賞会と合唱指導
能舞と洋楽コラボ、大分市で10月18日に公演 「新たな芸能の形を楽しんで」
子ども生き生き本格舞台、大分県民芸術文化祭が開幕 歌や踊りに会場から大きな拍手