2021年2月に大分市大在の一般道で発生した時速194キロ死亡事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われ、一審大分地裁の裁判員裁判で懲役8年を受けた被告の男(24)の控訴審は22日、福岡高裁(平塚浩司裁判長)で判決が言い渡される。検察側は量刑の引き上げを訴え、弁護側は法定刑の軽い過失運転致死罪の適用を主張している。
判決公判は午後2時半から。同1時40~50分に高裁南玄関前で傍聴整理券を配り、多数の場合は抽選をする。
最大の争点は危険運転罪の対象となる▽進行を制御することが困難な高速度▽妨害目的の運転―に当たるかどうか。いずれか一つでも該当すれば、同罪が適用される。一審は制御困難な高速度のみを認定した。
控訴審の初公判は昨年9月29日に開かれ、即日結審した。
検察側は一審が退けた妨害目的について、被告の認識を強調した。「右折車に急ブレーキを踏ませるなどして事故を回避してもらうしかないことは自覚していた。相手方の自由で安全な通行を妨げることを積極的に意図していた」と主張し、求刑の懲役12年を4年下回った一審の判断を不当だと訴えた。
一方で、弁護側は制御困難な高速度にも当たらないと反論する。「核心は進路に沿って自車をコントロールできていたか否か。被告の車は意図した通りに道路を直進できており、制御困難性は生じていない」と述べ、法定刑が7年以下の過失運転致死罪を適用するように求めた。
24年11月28日の一審判決は「ハンドルやブレーキ操作のわずかなミスで、進路から逸脱し、事故を発生させる実質的危険性があった」と述べ、制御困難な高速度を認定した。妨害目的は「右折する被害車両の通行を積極的に妨げる動機がない」として認めなかった。
18年12月に津市で起きた時速146キロ死亡事故など、大幅な速度超過でも危険運転罪が適用されない裁判例が続く中、194キロ事故の司法判断は注目されている。
事故がきっかけの一つとなり、法務省は法定速度60キロの一般道を110キロ以上で走行したケースなどに一律に危険運転罪を適用する「数値基準」の導入を検討している。
<メモ>
大分市の事故は2021年2月9日午後11時ごろ、同市大在の一般道(法定速度60キロ)で発生した。当時19歳だった被告の男は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市坂ノ市南、会社員小柳憲さん=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。