【日田】豪雨でたびたび林地の土砂崩れに見舞われる日田市で、昔ながらの集材方法「架線集材」に注目が集まっている。作業道を造成せずに伐採・集材できるため治山対策になり、ドローンを使った「スマート林業」の新技術も導入して災害対応を図っている。
市林業振興課によると、架線集材は鉄柱にワイヤを張り、滑車を使って丸太を運搬。急傾斜の山地でも効率的に丸太を切り出せる。林産地の同市では約30年前まで広く行われていたが、伐採から裁断、積載まで可能な高性能重機の登場でほとんど見られなくなった。
再び架線集材に注目が集まる理由は、豪雨による山林被害。重機で集材する場合、山林に作業道(幅員約2~2・5メートル)を造る必要がある。大雨時にこの作業道を雨水が勢いよく流れ、土砂崩れを誘発する一因となっている。架線集材では作業道の造成を必要最小限に抑えられるなど被災リスクが少ない上、林道から離れた「深い山」でも原木を運べる利点もある。
民間林業事業者でつくる「大分西部地域林業 結衣(ゆい)の会」(河津修一郎会長、12社)は昨年11月、市内大鶴の山間地で架線集材の研修会を開いた。市内外から65人が参加。尾根に立てた支柱に結び付けたリードロープをドローンが運んで架線を張り、尾根から標高差約80メートルの集積場までワイヤ伝いに丸太を運搬する様子を見学した。
市は架線集材に必要な資材の購入やレンタル費用の補助などを検討しており、導入を後押しする方針。
河津会長は「今までの架線集材では設置作業に人件費がかかっていたが、ドローンを使えばその課題にも対応できる。最近の激甚化する豪雨災害への対策を、林業事業者全体で考えていきたい」と話している。
<メモ>
2017年の福岡・大分豪雨では日田市内の林地49カ所が崩壊し、作業道も被災。林道335カ所が通行できなくなった。20年7月の豪雨でも林地14カ所、林道143カ所が被害を受けた。