ハローキティなどのキャラクターを展開するサンリオ(東京都)は8日、日出町藤原のテーマパーク「ハーモニーランド」のリゾート化に着手すると発表した。ランドエリアを広げてアトラクションを新増設するほか、新たに用地を取得してホテルも建設する計画。初期投資は100億円で投資総額は数百億円に上るとみられる。インバウンド(訪日客)にも人気の高い施設の拡充は大分観光の魅力を大きく底上げしそうだ。
リゾート化は「天空のパーク」構想と名付けた。現在あるハーモニーランド(駐車場などを含む約23ヘクタール)と隣接する山林エリア(約20ヘクタール)を一体的に再整備。ランドエリアを拡大し、全天候型の大屋根を設置する。ロープウエーなどを使い、広くて高低差のある敷地内を誰でも移動しやすい環境を整える。
近隣に広大な用地も取得する予定。ゆっくり滞在してもらうため、別府湾を望め、サンリオの世界を満喫できるホテルを建てる。
構想は共同出資する複数企業とコンソーシアムを組んで進める。初期投資ではランド部分のリニューアルや土地の造成、インフラ整備を想定。半年後をめどに基本計画の公表を目指す。
開発に当たっては、国内外のファンや地元住民が参加できる「ハーモニーランド未来共創室(仮称)」を新設。施設や装飾のデザイン、グッズ、飲食メニューなどを一緒に考えていく。
ハーモニーランドは1991年に開園し、来年35周年を迎える。サンリオは2024年12月に大分県と包括連携協定を締結し、リゾート化に向けて水面下の調整を重ねてきた。天空のパーク構想は40周年となる31年を一つの節目に段階的に進めていく見通し。
県にとっても経済波及効果は大きい。サンリオの試算ではランドの年間来場者数は現状の50万人が、リゾート化完了後は200万人に増加。相当数の雇用も生まれそう。ハローキティなどのキャラクターは世界的な人気を誇り、ランドを訪れた訪日客らの県内周遊も期待できる。
実現に向けては交通環境の整備が課題の一つ。大分空港(国東市)、特急列車が止まるJR杵築駅(杵築市)などからランドへのアクセス改善は欠かせず、行政の後押しも重要となる。
この日、ハーモニーランドを運営するサンリオエンターテイメント(東京都)の小巻亜矢社長が県庁で会見。「サンリオグループ初のリゾート化。大分の良さと融合させ、笑顔があふれる場所を目指す」と話した。佐藤樹一郎知事と日出町の安部徹也町長は「インフラ整備など県と町で連携してバックアップする」と述べた。
<メモ>
ハーモニーランドは、サンリオと地元(県、日出町、県内企業)が出資をほぼ折半した第三セクターの運営で開業した。2009年からサンリオの子会社サンリオエンターテイメントが運営。観覧車、乗り物といったアトラクション、レストランなどがある。