大分市出身で福岡大学2年生の吉田舜映(しゅんえい)さん(19)が、国際サッカー連盟(FIFA)などが主催する「eワールドカップ」に日本代表として出場する。大会は12月にサウジアラビアで開かれ、世界各地域の予選を通過した12カ国のプレーヤーが集結。人気サッカーゲームの「eフットボール(旧ウイニングイレブン)」で世界一を懸けて戦う。吉田さんは「日本人初の優勝を目指す」と意気込んでいる。
■生粋のサッカー少年
もともとは生粋のサッカー少年だった吉田さん。2歳の頃から、祖父に連れられてJリーグの大分トリニータの試合を見に行っていた。福岡に住む今でも、トリニータのホーム戦には毎回駆け付けている。
吉田さん自身も小学1年からサッカーを始めた。6年間続け、中学時代に一時離れたものの、高校で再開して3年生まで打ち込んだ。
ゲームを始めたのも自然な流れだった。家庭用ゲーム機で楽しむようになり、中学2年からはスマホゲームも親しんだ。「現実ではできないプレーを、指を動かしてできるのが楽しい」と魅力を語る。
■「試合をひっくり返す力が付いた」
大学進学後の昨年11月、「ただ遊ぶだけじゃなくて、何か目的がほしい」と、eワールドカップの日本代表決定戦に初めて出場した。6人総当たりの予選リーグで1分け4敗の最下位に沈み、苦い初陣になった。
腕をさらに磨き、今年は日本代表予選を通過。東アジア・オセアニア予選へ進んだ。7人で2回総当たりのグループリーグを2位で突破。決勝トーナメントは初戦で香港、準決勝でインド、決勝でタイの代表選手を破って優勝した。
吉田さんは「終盤に逆転勝ちした試合も多く、逆境に陥っても試合をひっくり返す力が付いた」と手応えを語る。
■異文化交流も楽しみの一つ
eワールドカップは、「eフットボール」を制作したコナミデジタルエンタテインメントとFIFAが開催する。家庭用ゲーム機と、スマートフォンやタブレットなどモバイル機器を使う二つの部門があり、吉田さんはモバイル部門に出る。
モバイル部門は大会ごとに使用機器が違い、手や指の感覚も異なるため、実戦経験が少ない吉田さんには難しい戦いになるという。それでも、ゲーム発祥国の代表として「海外のプロ選手にも勝ち、日本人が一番強いところを見せたい」と誇りを懸ける。
国際大会に出ると世界中に仲間ができ、海外のプレーヤーと練習をしたり、異文化に触れられるのも楽しみの一つだという。
■代表ユニホームをまとい
12月の本大会は、実際のサッカー日本代表チームと同じユニホームを着て試合に臨む。ネット配信もあり、ハイレベルな戦いは現実のサッカーの試合を見ているような面白さがあるという。
吉田さんは、多くの人に見てもらいたいと願っている。「注目してもらえると、この世界ももっと盛り上がる。ぜひサッカーの日本代表戦と思って観戦してほしい」