世界最高峰のピアノコンクールに挑む若者たちを追ったドキュメンタリー。
ショパン国際ピアノコンクールはポーランド・ワルシャワで1927年から原則5年置きに開催され、マルタ・アルゲリッチをはじめとした数々の著名なピアニストを輩出している。
作品は反田恭平、小林愛実が入賞を果たした第18回大会の様子を取り上げる。中心となるのは4カ国6人の挑戦者。カメラは彼らの楽屋や滞在先での素顔を丁寧に映す。そこに描き出されたのは劇映画以上に、濃密なドラマだった。
1次予選で87人だった出場者は、審査を重ねるごとにふるい落とされ、12人が本選にたどり着く。
強いプレッシャーがかかる中、鍵盤に向かう姿はさまざま。屈託のない笑顔を見せる少年ハオは指導者ビビアンの優しい言葉に支えられる。国際大会の経験が豊かな少女エバは厳しいレッスンを受けながら緊張と戦う。
アレクサンダーとレオノーラは互いに励まし合いながらステージに向かっていく。彼らの中には、思い詰めた表情で棄権を考える者も現れるのだが…。
タイトルはピアノの本来の呼び名。音楽用語で言うピアノ(弱い音)やフォルテ(強い音)を出すことができるところから名付けられている。コンクール出場者が人としての弱さや強さをさらけ出した調べは、聴く人の心を震わせる。
シネマ5bisで29日(土)~12月5日(金)の午前10時半、午後5時半(この日程以外も上映あり)。
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「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。