大分国際車いすマラソンの海外選手をサポートする通訳ボランティア団体「Can―do(キャン・ドゥ)」は今年、発足30年を迎えた。大会運営に欠かせない団体として長年活動を続けてきたが、平均年齢が60歳を超え、若返りを図っている。今大会は留学経験のある高校生も初めてメンバーになり、若い力が活動に弾みをもたらした。
結成は1995年。団体の名称は「できることをやる」と「感動」の意味を込めて付けた。
メンバーは英語や中国語、フランス語などの班に分かれ、そろいの黄緑のジャケットを着て活動する。通訳だけでなく、練習の付き添いや荷物の積み下ろし、ホテルまでの引率など、選手が安心してレースに臨めるよう手厚く支える。
「選手と心でつながり、感動を分かち合えるのが楽しみであり魅力」。発足翌年から参加している別府大非常勤講師の加藤多嘉子さん(大分市中島西)は熱く語る。長年の交流で親しくなっている選手も多く「会えるのが本当に楽しみ」という。
今大会は、10~70代の男女47人が参加した。双子の高校生姉妹も、留学で磨いた語学力を生かして海外選手に付き添った。
大分豊府高2年の松浦わ子さん(17)は中国語の通訳をした。羅興伝(ローシンツゥエン)選手(22)が記者から取材を受けた際には、質問をうなずきながら聞いて選手に説明。返答の日本語訳は途中で間が空くこともあったが、慌てずに笑顔で意図を伝えた。
「初めてで緊張もあり、素早く言葉の変換ができなかった。来年はもっとスムーズにできるようにしたい」と意欲を見せた。
妹の大分東明高2年、松浦か子さんは英語を担当。車いすの選手と同じ目線にしゃがんでコミュニケーションを図った。アイルランドのジョン・マッカーシー選手(51)は「彼女らのサポートは本当に素晴らしい。安心してまた大分に来たいと思える」と感謝した。
か子さんは「初参加だけど選手から信頼されていると思えた。キャン・ドゥの存在の大きさを肌で感じた」とにこやかに語った。
団体代表の後藤恵子さん(73)=大分市光吉台=は「30年はあっという間だった。大会を通じて多くの縁もできた」と振り返る。
今大会は大分東明高2年の塩月啓人さん(16)も韓国語の通訳として初参加。団体は長く活動できる人を増やそうと、今回から新規メンバーの受け入れを50代以下に限定した。
後藤さんは「大会の存続にはキャン・ドゥの世代交代も必要になる。若い人がどんどん出てきてくれるとうれしい。これからも大会と共に走り続けたい」と力を込めた。