【中津】中津市ゆかりの版画家武田由平(よしへい)(1892~1989年)に光を当てたアートイベントが、中津市内各所で開かれている。45カ所に武田作品計78点を展示する「まちなかアートプロジェクト」と、武田と同時期に活躍した版画家の作品を紹介する市木村記念美術館の企画展。版画の多様な魅力に触れられる。いずれも24日まで。
市が武田の生誕130年を記念して2022年から始めた取り組みの第4弾。運営には市民グループ「中津のアート学習会」が携わる。
同プロジェクトはこれまで同企画展の関連行事として開催されてきたが、内容と規模を大幅に拡充。カフェや雑貨店、病院、郵便局、公共施設などにそれぞれ1~7枚を飾っている。
見どころの一つは「名建築」と呼ばれる建造物を会場にした点で、昨年亡くなった世界的建築家、槙文彦さんが設計した風の丘葬祭場(相原)では「菊」「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)(業火)」など4点を並べる。
市教委の学芸員吉川和彦さんは「武田作品は素朴で包容力があり、どこでもなじむ。いろんな空間、場所で偶然の『出会い』を楽しんでほしい」と話す。
企画展「創作版画と新版画~武田由平の生きた時代」では、大正から昭和にかけて活躍した16人の作品を中心に計49点を展示する。武田と同様、彫って刷るまで1人の作家が手がける「創作版画」と、分業だった浮世絵の伝統的な技術を継承しながら新しい表現をした「新版画」を紹介。武田の影響で広がった中津での版画活動も伝えている。
問い合わせは同美術館(0979-22-7767)。主な関連行事は次の通り。
▽ギャラリートーク 3日午後2時(市木村記念美術館)▽木版画ワークショップ 15日午後1時半(市歴史博物館)、16日午後1時半(ブリーズ・ドュ・ルンヌ)、24日午後2時(まほう堂)