【豊後大野】豊後大野市犬飼町長谷地区の地域おこし団体「ながたに振興協議会」は本年度、食用などに使えるイネ科の植物「マコモ」の栽培を始めた。これまでに地区内にはびこった竹を使って堆肥や燃料などにする事業で実績を上げており、今後はマコモとの2本柱で地域活性化を図る。
協議会などによると、日本や中国東部から東南アジアの水辺などに生える多年草。稲のように根は水底の土壌中にあり、葉や茎は水面から出る。抗菌作用や土壌・水質の浄化作用があるとされ、古くから神社のしめ縄の材料などとして使われているという。
自生種は食用に向かないが、茎が太くなる中国からの導入種は、肥大化した部分をマコモダケと呼び、さまざまな料理に使われる。甘みがあり、タケノコやアスパラガスに似た食感が特徴。食物繊維やカリウムが豊富で天ぷらやきんぴらなどに使うのがお勧め。
協議会は地域内の耕作放棄地対策として、稲作よりも栽培に手がかからず、水の浄化などで環境保全につながるマコモに着目。今年6月、8アールほどの水田で試験的に栽培を始めた。
収穫期を迎えた18日、地区内の旧長谷小グラウンドで収穫祭「真菰(まこも)と竹の秋祭り」を開いた。多くの地域住民らが訪れ、マコモ入りの豚汁や葉で作った茶などを味わった。
マコモダケの収穫を体験した大分市中央町の主婦去川(さるかわ)真紀さん(50)は県外の道の駅で水煮を買ったことがあり食感が気に入っていた。「生のものはみずみずしくて驚いた。中華料理やサラダにして食べたい」と喜んだ。
協議会の森かおる地域支援員(54)は「食べると体内の老廃物を排出してくれ、乾燥させた葉は空気の清浄にもなる。捨てるところのない恵みの植物を使い、地域を元気にしたい」と話した。